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平凡な人間の、平凡じゃない毎日の記録帳
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いっぱい書きたいことがあると、何から書いていいか解らなくなってしまう。

なので、今書かなくてもいいことを書いてみる。

多分、一生書かなくてもいい、どうでもいいことのような気がするんだけど(笑)







我が家の脇を通っている道をまっすぐ歩いて、ひとつめの角を曲がってすぐの所に



「貸店舗・ギャラリー K」



という看板がかかった建物が見える。

ああ、もうみんな住んでないのかな、と見るたび思う。

そこは私の幼なじみで吹奏楽部の仲間だったR君の家だ。

R君のご両親が営んでいた割烹料理屋と住居があった場所だ。



R君は、幼稚園の年少さん、りす組の時同じクラスだった。

今の私のキャラからは想像つかないかもしれないけれど(実際自分でも昔の自分を上手く思い出せない)、私は男の子を子分にできるほどしっかりしていたようだ。

身長も高い方だったし、自分の意見を堂々と言える姐御肌だった。

その「姐御肌」の私の2ヶ月後に生まれたR君は私よりも背が低くて、気も弱かったらしい。

「あっこちゃん 遊ぼう」をひとりで言うのが恥ずかしくて、ふたりのお姉ちゃんを一緒に我が家まで連れてきていたそうだ。

今、おそらく妹の手元にR君のお姉ちゃんふたりとR君、私、妹の順に並んだ写真があるはずだ。

おおらかに笑っている私の隣でR君は気弱そうに笑顔を作っている。

何故妹が持っているのかというと、妹は「すごく可愛く写ってるからこれは私が持つべきだ」というからだ。

まあ確かに可愛く(妹はR君よりよっぽど男勝りな顔をしてるけど)写ってたのでまあよいのだが。

ふたりのお姉ちゃんも、小さな私達に優しくしてくれた。

(下のお姉ちゃんはその後入った合唱団にいた。私が入ってすぐ辞めちゃったけど)

可愛い友達R君。

その記憶だけははっきりある。可愛い、ちびっこ。R君。





それからあっという間に月日は流れ、私は中学で吹奏楽部に入部した。

2年生になった頃、いつの間にか背が高くなり、声が2オクターブくらい下がり、喉仏なんかも見え、ものすごく格好良くなってしまったR君が突然入部した。

肺活量が馬鹿にならないくらい多かったことを顧問のK先生が見込んで声をかけたのか解らないが、その馬鹿にならない肺活量を生かしてパートはホルンに。

すごく上手だった。

ついでに、歌も上手だった。

姐御肌だったはずの私だけど、中学生にまでなったら下の名前で呼べなかった。

やっぱり「幼なじみ」じゃ通用しないと思ったのだろうか。

「R君」は「K君」になった。苗字で呼んだ。

R君も私を苗字で呼んだ。

もう「あっこちゃん」じゃないんだなあとちょっぴり寂しく思った。



でも、やはり私達は「幼なじみ」だったらしい。

というか、その仲を上手いこと利用しようと考える同級生が、やっぱりいたのだ。

前にも書いたとおり、R君は格好良くなった。

しかも、性格も穏やかで、でも不良の香りもほのかにする所が魅力的だった。

放っておかれる訳がない。

同じ部活のKちゃんは、R君を好きになった。

でもKちゃんは、ふたりだけで会おうとせず、いつも私を巻き込んだ。

何故かKちゃんとR君と私という変な組み合わせで遊んだ。

私は、全く気づかなかった。

3人で登校(しかもR君を真ん中にはさんで)したのを同じ部活の仲間が目撃し、



「両手に花だね」



とちょっとひがみっぽく言ったのも覚えているけど、私は自分がどういう立場なのか気づいていなかった。

R君の家に行けば、R君のお母さんは勿論「幼なじみのあっこちゃんとそのお友達が遊びに来た」と自然に捉えていたし。

私はふたりがどうなりたいのかなど全く考えず、何故かいつも一緒にいた。

ある日曜日、当たり前のように私は母に「R君の家に遊びに行ってくるね」と伝えて勿論Kちゃんと一緒にR君の家へ向かった。

でもその日、私は何か察知したのだろうか。

Kちゃんを残し、先に帰ったのだ。

その日の夕方、血相を変えた?Kちゃんのお母さんが、我が家に電話をかけてきた。

母は呑気に「はい、一緒にR君の家行くって言って、さっき帰ってきましたよ」と答えてしまった。

Kちゃんはお母さんに内緒で出て行ったのだ。

その日の夜、どうやらKちゃんは怒られたらしい。

私も母も悪いことをしたのかもしれないけれど、Kちゃんにとっては悪いことでも、呑気な我ら母娘にとってはなんにも悪いことではない。

その日あたりから、後輩の間でふたりについていろんな噂が駆けめぐったらしい。

私よりも妹の方がふたりの仲について良く知っていたくらいだから(笑)

私は、一体なんだったんだろうな、と思う。

ただ、3人で過ごした時間は、とても楽しかった。

それだけで、いいのかな。





一度日曜日に我が家にKちゃんとR君が一緒に来たことがある。玄関までだけど。

その時、父が玄関までやってきて



「R君か!立派になったな」



と言った。

私は一瞬誇らしかった。

私達家族にとっては、苗字じゃなくて名前の「R君」なのよ、と。

誇らしかった?

ってことは、ほんの少しだけ、私は妬いてたのかな。

一瞬の優越感に浸れた私は、やっぱりほんの少しはR君が好きだったのかもしれない。

それが「格好良くなったR君の幼なじみを名乗れるのが嬉しい」だったのか「男らしく成長した同級生への恋」だったのかは今でもわからない。





その後、R君はホルンの腕を買われて推薦で高校に入ったのに退学したらしいとか、バンドを組んでプロのミュージシャンになったらしいとか、髪の毛は銀色になったらしいとか、いろんな噂を聞いたけど、どれが本当で嘘なのか全くわからない。

解っているのは、割烹料理屋を閉め、R君一家が住んでいる気配が感じられない建物が一軒、我が家のすぐそばに建っている、ということだけだ。

私は相変わらず、角のボロ家に住んでいる。

もう25年も前にこのボロ家で遊んだあの頃が、懐かしい。

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