生まれてこなければ･･･

今日、宅間守死刑囚の刑が執行されました。

あの事件が起こった日、私は大学の臨床実習中でした。

精神科デイケアに実習に行っていた友達が、宅間死刑囚が精神科に通院歴があったことからショックを受けて体調を崩した患者さんが数名いたことを話してくれたことを覚えています。

それくらい、残忍で、社会に大きな衝撃を与えた事件でした。

あれだけのことをしたのだから死刑は当然だとは思います。でも私は何故か少しやるせない気持ちです。

最後まで、被害者の子供たちに謝罪することなく、人生を終えてしまった。弁護士さんや臨床心理士さんが贖罪の気持ちを引き出そうとしても謝罪の言葉は出てこなかった。でも、「被害者の子供は無念だっただろう」などと話していたそうです。きっと彼なりに被害者への思いはあったのでしょう。

宅間死刑囚は、「自分が生まれてこなければこんなことにはならなかっただろう」と言ったそうです。それがすごく悲しい。

私はこの世に生まれてくる命に価値のないものなんてないと信じたいです。命の尊さに優劣などない。きっと彼は育ってきた環境などから間違った形で人格が形成されてしまったのだと思います。「謝る」ことができない人間に育ってしまった。

刑を早く執行するよう訴える前に、もっと自分を見つめ直して、贖罪の気持ちを持ってから刑を受けて欲しかったです。贖うことができるのならば。

上手く言えませんでしたが、悲しい事件のことはきっと忘れません。８人の犠牲となった子供達が天国で安らかに過ごしていることを願います。